全日本情報学習振興協会

《オンライン受験システムに関する調査》
一般財団法人全日本情報学習振興協会は国家試験の受験経験者を対象に、「オンライン受験システム」に関する調査を実施しました。
一般財団法人全日本情報学習振興協会
受験者が国家試験会場に求めることとは
起床時間 会場迄の時間 交通費・宿泊費 遅刻経験 不満の内容
オンラインのメリット オンラインのデメリット
◆国家試験受験者の半数が“移動を伴う試験に不満を感じている”と回答!
◆2割以上が遅刻しそうになった、実際に遅刻してしまった経験があることが判明
試験会場までどのくらいかかった?意外と大変?
はじめに、試験会場へ行くまでのことを伺っていきたいと思います。
「受験当日、集合時刻のどのくらい前に起床しましたか?」と質問したところ、2時間前~3時間前未満(31.1%)と回答した方が最も多く、次いで『3時間前~4時間前未満(24.8%)』と続きました。
受験当日は、時間に余裕を持って起きている人が多いことが分かります。

また、「試験会場に着くまでどのくらい時間がかかりましたか?」と質問したところ、1時間~1時間30分未満(37.7%)と回答した方が最も多く、次いで『30分~1時間未満(35.6%)』と続きました。 試験会場の場所によっては、時間がかかることもあるため、それが影響していつもより余裕を持って起きている方が多いのかもしれません。
「往復の交通費、宿泊費を合わせてどれくらいかかりましたか?
(1次2次試験、全て含む)
5千円未満(63.6%)と回答した方が最も多いが、次いで1万円~2万円未満が(13.0%)、5千円~1万円未満(12.5%)と続きました。
5,000円未満が多い結果となりましたが、限定的な場所でしか試験を行っていない場合、前日に移動して最寄りに宿泊する必要もあるでしょう。
遅刻したことある?やってしまいがちな失敗とは?
大切な国家試験だからこそ、遅刻は絶対に避けたいと考えている方も多いはずです。 では、実際に国家試験に遅刻しそうになった経験をしたことがある方はどれくらいいるのでしょうか? そこで、「国家試験に遅刻しそうになった、もしくは遅刻してしまった経験はありますか?」と質問したところ、2割以上の方が『ある(21.5%)』と回答しました。 遅刻しそうになった、あるいは実際に遅刻してしまったという方は意外と多いことが分かりました。
実際に受験の際、どのような失敗をしたことがあるかを聞いてみました
◆受験の時の失敗談とは…
・受験会場に行くのに迷った(30代/男性/北海道)
・えんぴつを忘れた(40代/男性/北海道)
・乗り換え駅で列車を間違えた(40代/男性/東京都)
・受験票を忘れそうになった(50代/男性/兵庫県)
などの回答が得られました。
忘れ物に関することと道に迷ったという声が多く寄せられました。
受験場所が近ければ、忘れ物をしても取りに帰ることもできますが、遠いとなかなかできません。
また、全く知らない土地で受験するとなれば、迷ってしまう方も出てくるようです。
もっと受験環境を改善して欲しい?国家試験会場で感じた不満とは?
ここまでの調査の結果、受験当日に遅刻しそうになったり、実際に遅刻してしまったりした経験のある方は2割以上いることが分かりました。
例えご自身が気を付けていても、公共交通機関の遅延や運転見合わせ、道路の渋滞など、遅刻してしまうリスクはありますから、試験会場に赴いて国家試験を受けなければならないことに不満を抱えている方もいるかもしれません。
そこで、「会場に出向いて国家試験を受けることに対して不満はありますか?」と質問したところ、『とても不満がある(15.5%)』『やや不満がある(35.1%)』『不満はない(49.4%)』という結果となり、不満を抱いている方は半数に上ることが分かりました。
『とても不満がある』『やや不満がある』と回答した方に、「どのような不満を感じますか?(複数回答可)」と質問したところ、『試験会場が自宅から遠い(53.7%)』と回答した方が最も多く、次いで『試験会場の数が少ない(43.3%)』『試験日が年に1~2回しかない(30.2%)』と続きました。
試験に関する不便さが浮き彫りとなる結果に。
試験会場や試験日程を増やして欲しい、という方は多いようです。
それ以外に改善して欲しいことについても聞いてみました。
■具体的に改善して欲しいこととは…
・駅から近い会場にして欲しい(30代/男性/北海道)
・全都道府県での開催(50代/男性/石川県)
・駐車場があれば良い(50代/男性/岐阜県)
・在宅受験にして欲しい(50代/男性/福岡県)
などの回答が得られました。
できるだけ移動時間や距離を短縮し、もっと手軽に受けられるようなものになって欲しいと考えている方が多い印象です。
また、駐車場や駅チカといった、利便性を望んでいる声も多く見受けられました。
国家試験をオンラインシステムにすることのメリットとデメリットとは?
先程の調査では、5割以上の方が国家試験の会場に対して不満があると回答しました。
不満を解決できる選択肢として考えられるのが、オンラインシステムを利用した受験と言えます。
では、国家試験がオンライン化された場合、どのようなメリットやデメリットがあると考えているのでしょうか?
まずは、考えられるデメリットから見ていきましょう。
「国家試験をオンラインにすると、どのようなデメリットがあると思いますか?(上位3つ迄)」と質問したところ、『カンニングなどの不正が増える(63.6%)』と回答した方が最も多く、次いで『受験環境が同じではないので不公平になる(43.4%)』『通信環境や機器を持っていない人は受験できない(33.8%)』『デジタルの知識がない人は受験が難しい(31.1%)』『人によって、メリハリがないと集中力が落ちる場合がある(16.2%)』と続きました。
オンラインになることによって、公平性が保たれないことを懸念する声が多くありました。
試験というものは同じ条件で受けないと成立しないものだからこそ、出てくるデメリットがあることが分かります。
では、反対にメリットは何なのでしょうか?
続いて、「国家試験をオンラインにすると、どのようなメリットがあると思いますか?(上位3つ迄)」と質問したところ、『交通費や宿泊費がかからない(50.6%)』と回答した方が最も多く、次いで『試験会場まで移動する手間が無くなる(50.5%)』『新型コロナウイルスの感染予防になる(45.4%)』『時間に余裕が生まれる(19.9%)』『自宅で落ち着いて受験できる(18.8%)』と続きました。
好きな場所で受けられることで、移動の手間が減ることが大きなメリットと考えている方が多いようです。
また、今の時代新型コロナウイルス感染予防にも繋がりますから、オンラインでも公平性が保たれるようなルールを導入できれば、実現の可能性は大いにありそうです。 
【まとめ】オンライン試験システムの導入は、受験者、試験実施者共にメリットがある?
国家試験に関する不満の声を聞いてみると、オンラインシステムへの希望が見えてきました。
5割以上の方が、会場試験に出向いて試験を受けることに不満を抱えていることが分かり、そのほとんどが移動の手間に関する不満でした。
移動時間や費用のことを考えると、受験者側への負担が大きいことが分かります。
全く知らない土地での受験の場合、迷ってしまうことも考えられるため、できれば通いやすい場所で受験したいと思っている方が多いことから、オンライン試験システムにも期待が高まります。
一方で、受験者の公平性等の問題も出てくることから、ここを解決するためのルールを導入することが課題となってきそうです。
国家資格を受ける皆さんの負担が少なくなるような、優しいシステムが導入されることを期待しましょう。